晶太の夏休み日記11

つづきです。

8月17日くもり

あさからカッパのお父さんについて、山にのぼりました。
カッパの子、かんぺい君もいっしょです。
沢にそってどんどんのぼる。
カッパは、あつさによわいです。
つかれたらすぐ沢の水に入ります。
体をひやして、元気になって、またのぼります。

とちゅう、いくつか薬草やきのこを見つけてとりました。
「やっぱり、ヤマヒメさまは、ないのお。
 むかしは、このへんによくさいとったもんやが・・」
「ヤマヒメさま?」
お父さんに、ぼくはききました。
「うむ。ヤマヒメノカミカザリという薬草や。
 みな、ヤマヒメさまとよんどる。
 ほんにかわいらしい、ももいろの花がさきよるんや」

ぼくは、山のおひめさまをそうぞうしました。
なんでか、りゅうのひめさまがうかんできました。
きれいなひめさまが、かみに花をつけているところ・・・。

「あれ? ももいろの花?!」
ぼくは、ぴかっときました。
「それ、むらさきのはっぱのまん中にさく花?」
「そや、そのとおりや! 知ってるんか?」
「うん、知ってる。おばあちゃんちの近くでさいてたもん」
「な? そんな人里に? 信じられん・・」
「はっぱが、まあるくひろがってるんやろ?
 花はこのくらいで、はっぱがこのくらい・・・」
「おお、たしかにそうや。まちがいない!
 それがあれば、みょうやくは作れるでな!」

ぼくたちは、山のおねに出ました。
そこで、心の中でりゅうをよびました。
「りゅうじんさん、来てください」
何回もよびました。

つづく
by tobelune | 2012-08-30 09:18 | 子どものころ | Comments(0)

 空好き、猫好き、星も好き。 絵本画家 久保晶太の日常と制作ウラ話! とべるね画伯も活躍。


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