風になりたい10

午後になり、少し雲が出てきました。
斜面でのライズアップ、そして走り下りる練習が始まる。

校長先生のアドバイス。
「走り方の、頑張りどころを言っておきます。
 まず、始めはゆっくりスタートですね、
 ゆっくりキャノピーを膨らませ、翼を形作ってあげる。
 形が出来たところで、ぐっと後ろへ引っぱられますね、ここで踏ん張る。
 徐々に加速して、キャノピーが上がってくる。
 私が「放して!」と言いますよね。
 ライザーを放して、ブレイクコードだけを握る。
 この「放して!」のタイミングで、翼は頭の真上に来ているってことです。
 ギアチェンジするのは、ここです!
 ここから、思い切りダッシュです。
 翼が出来ていて、風が前から来れば、自然と浮き上がります。
 自分から飛ぼうとしない。
 風に飛ばしてもらうんです。
 いいですか?
 飛ばさせてもらうんです(笑)・・・」
なるほど! なかなか深いです・・・。

まずは、斜面の5合目くらいから走って下りる。
1本やるごとに、少しずつスタート地点を上げてゆく。
走って下りては、ラインを絞り、キャノピーをまとめ、肩にかついで坂を上る。
これが、けっこうキツい。足に来る。はあはあと息も上がる。
ふと空を見上げると、いつの間にか曇り空になっていた。
そういえば、風も静かになっていました。



とうとう、斜面のてっぺんに来ました。
風は、南からの微風。実にいい、向かい風です。グッドタイミング!
ぼくの順番が来て、キャノピーを広げます。
ラインを整えて、ハーネスに繋ぎます。
スタートの姿勢で立つ。
坂のてっぺんから見下ろすと、これが高いんだ。キ、キンチョー!(笑)
「胸を張る、手は肩の横、ゆっくりスタート・・・」
心の中で復唱。

しばし、風を待つ。
やがて先生が、「では、どうぞ!」と合図をくれる。
ぼくは、ゆっくり、足を踏み出しました。

つづく!





  大黒摩季
by tobelune | 2013-11-17 14:40 | ロマンやね | Comments(0)

 空好き、猫好き、星も好き。 絵本画家 久保晶太の日常と制作ウラ話! とべるね画伯も活躍。


by tobelune