絵本会議003

くりゅ「根っこの話、さらに掘り下げましょう」
くる「根っこを掘り下げる? 山芋掘ってるみたいやね」
「はは、うまいこと言うやん。そんな感じで」
「あの・・・道子ちゃんが天国に行ったときの話、してもええ?」
「うん。そこが根っこやからね。ぜひ」

「彼女がいなくなって・・・ずっと泣いてた。
子どもの前では、カラ元気出してたけど、一人になると泣いてた・・・」
「うん。もう、14年ほど前やけどね」
「あのとき、ぼくは、世界で一番不幸やと思ってた」
「最愛の妻を、病気で亡くしたんやからね・・・」
「道を歩いてるとな、その辺からヒョッコリ、道子が出てきそうな気が
するねん。彼女に似た背格好の人を見かけると、ドキッとする・・・」
「いるはずないんやけどね」
「それが、似た人がいるんよ。道子と同じような帽子かぶって、
同じような趣味の服を着て、ヘアスタイルまで似てて・・・
遠くから見たら、そっくり」
「それは、ドッキリします」
「でも、近づくと別の人。それでまた、泣きそうになる・・・」
「そんな日々が、半年くらい続いたよね」
「そう・・・あれで、子どもがいなかったら、ぼくは・・・
どうなっていたか、わからへんよ」
「うん」
「一生分の涙を使った気がしてました。
でもね、ある日、突然の転機が来るんですワ」
「おお、来ましたか」
「えーと・・・この辺で、つづきにしたら?」
「うまいねー(笑)」

つづく























by tobelune | 2016-02-06 13:08 | えほん | Comments(0)

 空好き、猫好き、星も好き。 絵本画家 久保晶太の日常と制作ウラ話! とべるね画伯も活躍。


by tobelune