カテゴリ:旅るね( 21 )

森へ

金曜の朝、いいお天気。トトロの森(八国山緑地)に行きました。
森の入口に立つと、心が躍ります。冒険のニオイがしました(笑)。

カメラ片手に紅葉を求めて、いざ出発!
森の中は、静寂そのもの・・・


b0246533_19132324.jpg


b0246533_19133646.jpg


b0246533_19134315.jpg


b0246533_19140635.jpg


b0246533_23530048.jpg


b0246533_19144547.jpg




3時間ほど歩いて、小鳥の声もいっぱい聞いて、帰って来ました。
快い疲労感。
心の洗濯って感じでした。
やはり、こういう時間が必要だよね。うんうん。





















*

[PR]
by tobelune | 2016-11-19 07:27 | 旅るね | Comments(0)

冒険の旅 7

駅員さんは、晶太の家に電話をかけに行った。


「父ちゃん母ちゃんが何んて言うやろ?
びっくりするやろな。
二度とひとりで旅することを許さないかも・・・」
悶々とする晶太。


少しして、駅員さんが戻って来る。
「お宅にかけたけど、出なかったよ。仕方ないね・・」
あ、助かった~~。
もうみんな、寝てしまったのか。
早寝早起きの家族で良かった~~~(笑)!


少年は、ひと安心。
ソファを借りて、横になる。ありがたい。
寝心地は快適とは言えないけれど、
深夜でも働いている駅員さんの気配を感じながら、うつらうつらと眠った。





5日めの朝。
通勤客が押し寄せて来ないうちに、出発だ。
「ありがとうございました!」
駅員さんに深々と礼をして、自転車にまたがる。
きょうも青空。


もう、あとはたいした距離ではない。4時間くらいで帰ることができるはずだ。
無心にペダルをこぐ。
もう迷うこともなく、明石、神戸を通過。
やがて、伊丹の文字が見えてくる。


見なれた景色。
もうすぐ我が家に到着だ。
約500キロを完走できた喜びと、旅が終わってしまうさみしさと・・・。


お昼前、無事、家に辿り着く。
「ただいま~~~!!」
手を洗い、ついでに顔も洗う。
鏡に映った晶太は、日に焼けて、少しだけたくましく見えた。
そして、彼は思うのだ。
「おもしろかった〜!
次は、どこへ行こうかなあ・・♪」


まったく、こりない。おバカでハタ迷惑な17才であった。
ちゃんちゃん♪


大人になった晶太の冒険に、つづく
のか?





Saudade Da Bahia

b0246533_12103486.jpg

[PR]
by tobelune | 2016-08-11 07:30 | 旅るね | Comments(0)

冒険の旅 6

民宿で1泊、兄の寮で2泊、そして4日めの朝早く、晶太は兄に別れを告げた。


昨日、3日めは兄貴の車でドライブ。
「白壁の町倉敷」をゆっくり観光し、
さらに鷲羽山に登って、そこから瀬戸内の夕景を眺めた。
黄昏れの美しさ、せつなさ、やがて街の灯が次々とまたたき始めて・・・
あの灯りのひとつひとつに、人生があるんやなあ。
そんなことを考えていた。


その夜も寮に泊めてもらう。
本当は、寮に泊めていいのは1泊だけらしくて、
裏口からこっそり忍び込み、兄貴の部屋へ。
K製鉄さん、ごめん(もう時効だよね)。


おかげで、すっかり元気回復! 兄貴に手を振って、帰り道についた。
来る時とまったく同じ道では面白くないので、平行して走る別の国道を進む。
なので、もう、おまわりさん達にも会わなかった(笑)。


鼻歌を唄いながらペダルを踏む晶太少年。
この頃に流行っていたのが、コカ・コーラのCMソングにもなった
「愛するハーモニー」である。
♪この広いぃ地球の~どこまでも~・・・





何んのトラブルもなく(期待してた?)、すこぶる順調に走る。
すいすいと県境を越え、兵庫に戻って来た。

b0246533_1156529.gif



姫路まで来て余裕だったので、お城を見てみたいと思った。
小学生の時に遠足で来た覚えはあるものの、
お城の印象はおぼろげであった。


国道からはずれて北上すると、
姫路はさすがに都会という感じである。大きいビルが建ち並ぶ。
大通りを行くと、ビルの向こうに突然、姫路城が現れた。
白鷺城と言われるだけあって、
白くて優雅、お姫さまを連想させる綺麗なお城だ。
天守閣を仰いで、しばし見とれる。





加古川を過ぎたあたりで、夕闇が迫ってきた。
さてさて、最後の1泊をどこにすればいいのか?


普通の市街地である。
これでは、野宿もしづらい・・。
「どうしようか?」
国道はいつしか、国鉄の線路と平行して走っていた。
小さな駅があったので、ちょっと寄って休憩する。
「土山(つちやま)」という駅だった。


駅舎は木造で、どこか田舎っぽくてステキだった。
待ち合い室も、木のベンチが長くぐるっと続いており、古き良き時代を感じさせてくれた。
雰囲気が気に入ったので、ここで夜を明かそうと決めた。


待ち合い室でじっと座りながら、晶太は何を考えていたのだろう?


やがて、駅を行き来する人も途絶えて。
少年ひとりになった。
10時を回って、
駅員さんがひとり、声をかけてきた。


「君、どうしたの? もうすぐここも閉めるよ?」
「えっと、あの、すいません。自転車で旅をしていまして・・今夜ここで過ごしちゃだめですか?」
「ここで? そりゃちょっとなあ・・・」
駅員さん、困った顔して他の駅員さんのところへ。


また戻ってきて、
「ちょっと、こっちへ来てくれる?」
(あれれ? また家出と思われたかも? 困ったな・・)


駅員さんについて行くと、改札をくぐり、駅舎の奥に通された。
駅員さん達の休憩する場所というか、あるいは宿直室なのか、
ゆったりしたソファに座らせてもらう。
「で、家はどこなの?」
また、これだ。
事情をかいつまんで説明する。


「なるほど、わかった。今夜はここで眠ればいいよ」
ほっとする晶太。
「ただし、親御さんが心配されているだろうから、電話はするよ? いいね?」
「はい・・・」


いやとは言えない。
まだ半分、疑われているように思える。親に確かめるつもりなのか。
けれど、電話なんかされると余計に心配するはず。
あ~~~~、絶体絶命のピンチ!


まだつづく







The Long and Winding Road



b0246533_11252238.jpg

[PR]
by tobelune | 2016-08-10 07:10 | 旅るね | Comments(2)

冒険の旅 5

白バイに伴走されて走る晶太。
(これはこれで、面白い経験ではあるが)
「こんなこと、信じられない。何もしてへんのに」


建物の中に入ると、おまわりさんが5人くらい。
椅子をすすめられて座ると、周りを取り囲まれたような気になる。
ドックドックドック・・・
心音が激しくなる。
緊張の極限。


「実は、家出少年の捜索願いが出ていてね。
申し訳ないんだが、君の名前と住所、電話番号を書いてもらっていいかな?」
言葉はやさしいが、有無を言わさぬ雰囲気。
少年は言われるままに書く。
「生徒手帳かなんか、持ってる?」
「いえ・・・ありません」
身分を証明できるものが何もなかったのに気づいて、青くなる。
(まさか、家に電話したりしないよな・・?
そんなことされたら、親が心配するに決まってる)


「心配しなくていいんだよ。何も悪い事をしたわけじゃないんだから。
堂々としていればいいんだよ」
と、別のおまわりさんが空気をほぐしてくれる。


晶太はちょっと安心して、旅をしていることを話した。
伊丹から来たこと、倉敷にいる兄に会いに行くこと・・・。
どうやら信じてもらえたようであった。
親に電話もしないようだ。よかった。


「じゃあ、気をつけてね」
おまわりさん達に見送られる。
無罪放免。


しかし、時間をロスしてしまった。
迷惑な話だ。
「いや、しかし、びびったなあ!」
ほっとしたとたん、独り言が飛び出す。
「間違いでした、ごめんねとかの言葉もないし、時間取らせて缶ジュースのひとつ
も出ないのかよ?」
文句たらたらの晶太であった(笑)。





遅れを取り戻すため懸命にペダルをこいで、岡山の市街を行く。
陽が傾き始めている。
お尻が痛くてたまらない。
太ももが悲鳴を上げている。限界が近い。
だが、急がなくては。


さらに1時間ほどして、やっと倉敷にやって来た。
が、兄貴のいる寮はどこにあるのだろう?
パン屋さんがあったので、菓子パンと飲み物を買って、ついでに道を聞く。
「え、西之浦? ああ~、もっと向こうの方やね。かなりあるよ」
店のおばさんが指さした。


夕陽で赤く照らされた街を、ヘロヘロになりながら進む。
ようやく、その住所にたどり着く。
「K製鉄株式会社 社員寮」と大きな表札があった。


門をくぐると、中は広い。
だだっ広い中に建物が点在する。
「そっちが第二寮、こっちが第三寮・・、兄貴は第七寮か」
陽が沈み、どんどんうす暗くなっていく。
「四、五・・」
ひとつひとつが遠い。くたくたなのに。
「これが六・・・で・・・?」
なぜか、そこが最後で、もう先はない。


「ええ~~? 嘘だろう?」
足を引きずるようにして、自転車を押して戻る。(もう、乗るのもいやだ)
「どこなんだ? 兄貴~~?」


通りかかった人に聞いてみる。
「あ、第七寮はあっち。奥の方だよ」
七だけ、全然ちがう所に建っているのだった。





ゴールの建物は、オレンジの暖かい明かりで晶太を迎えてくれた。
静かに自転車を置き、ドアを押す。
「ここが、そうかあ」
清潔感のある、きれいな建物である。
「え~~と、誰に言えばいいのかなあ・・」
ロビーでウロウロしていると、若い男の人が現れて目が合った。
「あ、久保の弟くん?」


それは、兄貴の高校時代の友人で、一緒の会社に入ったAさんだった。
「あ、こんにちは。良かった。兄に会いに来たんです」
Aさんが連絡を取ってくれる。


しばらくして、兄貴がやって来た。
「自転車で来たんか? ようやるなあ。今、許可をもらったから、部屋に泊まって
ええで。明日の仕事、代わってもらったから休みや。倉敷を案内したるわ」
晶太はうれしくて、疲れも忘れて旅の話をした。
途中のトラブルも全て、笑い話になる。


頑張った甲斐があった。
今夜はゆっくり眠れるなあ・・と晶太は心の底から安心したのだった。
めでたし、めでたし。


いや、もう少しつづく






Joy To The World


b0246533_15403940.jpg

[PR]
by tobelune | 2016-08-09 07:28 | 旅るね | Comments(0)

冒険の旅 4

スピードダウンの原因は後輪にあった。



後ろについている荷台を下から支える、細い支柱がある。

それを留めていたネジが左右2本、抜けてなくなっていた。

おそらく、長距離を走る振動でネジがゆるんで落ちたのだろう・・・。

少し戻って道路を探すが、見つからない。



支えを失った荷台が下がることで、後輪の泥よけも押されて下がる。

それで、タイヤが上から圧迫されて、ブレーキをかけたような状態になるのだ。

これでは、とても走れない。



「まいったなあ」

出発前に自転車の点検はしたつもりだが、

まさか、こんなところのネジまでは調べなかった・・・。不注意だった。



晶太は、カバンを探る。

何かの役に立つかもと細いヒモは持っていたので(さすが)、

それでくくって留めてみる。

「うん、行けるかも」

しかし、走り出して5分もしないうちに切れてしまった。

また、ブレーキがかかる。



仕方なく押して歩く。

太陽に照らされ暑い中を、えっちらおっちら。汗が吹き出す。

「やっぱり、自転車屋さんがないと無理だなあ。

しかし、自転車屋さんなんて普通、町中にあるもんだよな・・・

こんな海沿いの道に、そんなのあるわけが・・・

あ、あれは?!」



道の向こうに店が見える。

ノボリがはためいている。

「ブリジストンって書いてある? やった!」



なんという幸運。

自転車屋さんに入って、ネジを締めてもらった。

まだ若いお兄さんだった。

他にも不備がないか点検してくれた上で、笑って話しかけてくる。

「お代? ええからええから。兄ちゃん、どこまで行くん? 倉敷?

おお~~、頑張るなあ。気いつけてな!」

お礼を言って、元気に走り出す晶太。



「ええ人やなあ~~!!」

爽やかな風を感じながら、少年はいよいよ岡山県へと突入するのであった。





県境を越える。

いつの間にか海から離れて、道路は、山というほどではないが、荒れ地を行く。

砂ぼこりが舞うような道だ。

アップダウンがあり、自転車には厳しい。



途中で、おまわりさんが何人かいた。

すぐ横を通過。

「何か、取り締まりでもしてるんやろか?」

たいして気にもかけず走っていると、後ろから、

ウ~~ウ~~~~!

白バイが走ってくる。

「え? まさか、ぼくじゃないよな?」

白バイは、横をすり抜けて走って行く。

「やっぱ、ちがった。おどかすなよ」



ところが、白バイ、追い越したと思ったら、晶太の前に回ると止まるのだった。

「はい、止まりなさい」

と、マイクで言う。

「え?」

ブレーキをかけて思わず周りを見回すが、他に誰もいない。

「ぼく? なんで? ええ~~~ッ??」



晶太は、警察の詰め所まで連行されてしまった・・。



つづく







An Old Fashioned Love Song




















[PR]
by tobelune | 2016-08-08 07:07 | 旅るね | Comments(0)

冒険の旅 3

ザクザクと近づいて来たのは、ひげ面のおじさんであった。

会社帰りといった風に見える。



「こんなところで、どうしたの? 大丈夫?」

「あ、あの、自転車旅行をしてて・・疲れたので休んでたんです」

「ここじゃ風邪ひくよ? もう少し先に行くとお店があって、

そこは民宿もやっているから、そこで泊めてもらった方がいいよ。ね?」

おじさんはそう言い残して、車で走り去った。

晶太はほっとする。



「地元の人やろか? 道路からぼくの姿が見えたんかなあ?

それとも、不審な自転車があったからか?」

どっちにしろ、親切なおじさんで良かった。



しかし、よくよく考えてみると、

もしかしたら、岸壁から身を投げるようなことを心配されたのかも知れず・・

そう思うとおかしくて、晶太はひとりで笑った。





おじさんの言葉に従って、もうひと頑張り自転車をこぐことにした。

海岸の曲がりくねった道を行くと、本当に小さなお店がある。

コカ・コーラの看板が目立つ。

店はもう閉まっていたが、裏へ回って、ドアをたたく。

出てきたのは、小柄なおばあさんだった。



事情を話すと、家の中に入れてもらえた。

おばあさんひとりしか、いないようである。

「お腹は空いてるんかい?」

そういえば、夕飯もまだだった。



おばあさんは、ご飯と有り合わせのおかずをお盆にのせて出してくれた。

56センチの小魚の酢の物がある。

(シラスが大きくなったような感じ)

「これは、いかなごと言うてな、この辺の名産じゃ」



おばあさんと何を話せばいいかわからず、もくもくとご飯を食べる。

「それじゃ、まあ、一晩500円だけ出しなさい」

おばあさんが言う。

格安ではあるが、余り物の食事だし、妥当なのかもとも思える・・・。

すぐに財布を出して払う。

さらに、おばあさんは付け足した。

「ここで布団で寝なさい。変な考え、起こしたらいかんよ。ええな?」

「?」

とっさに意味がわからなかった。



おばあさんにしてみれば、どこのどいつとも分からん奴を泊めるのだから、

警戒するのも当然である。

恩を仇で返す奴もいるかも知れないわけだし。

だから、そういう発言になったのだろう。

しかし、理解はできても、少年は信じてもらえないのが悲しかった・・・。



「これが現実かあ・・」

晶太の旅は、世間を知る旅でもあった。





2日目の朝。

晶太は、おばあさんに別れを告げ、出発する。

今日もいい天気。



昨日の走行距離と時間から計算して、平均時速15キロというペースであることが判明。

18時間こぐことになる。

昨日頑張ったのでお尻が痛い、足もだるい。だが、今日も同じくらい距離が残っている。

「もうすぐ岡山県だ、がんばろう!」

自分を励まし、ひた走る。



赤穂市にやってきた。

「赤穂浪士」で有名な、あるいは「赤穂の塩」で有名な海辺の町である。

穏やかな海を眺めながら走る。

かもめが鳴いている。

「のどかだなあ~~ なんか、いい感じ~~」

ところがここで突然、自転車に異変が起きた!



急にペダルが重くなり、スピードが出ない。

一気にペースダウン。

「あれれ?」

自転車を降りて調べると、予想もしないトラブルであった。

「うわあ、どうしよう~~~!?」



晶太は「ムンクの叫び」状態となった。



つづく







雨を見たかい?




















[PR]
by tobelune | 2016-08-06 07:17 | 旅るね | Comments(2)

冒険の旅 2

晶太は朝から快調に自転車を飛ばす。



この自転車であるが、サイクリング車でも何んでもない。普通の通学用。

しかも、兄のお下がりである・・。

まあ、一応、変速機はついているので充分だが、ピカピカとは言えなかった。



さて、どんどこ南へ突っ走っているうちに大きい道路に突き当たった。

トラックが沢山走っている。

標識を見ると、左は大阪、右へ行けば姫路とある。

「なるほど、この国道でいいんやな。簡単やんか」



やがて、神戸という表示が出てきて、

「おお~~~っ、もう神戸か、早いなあ! ここまで、たった1時間!」

調子に乗って、ガンガンこいでいたら。

いつの間にか道路からトラック達がいなくなっていた・・・。



「なんか、おかしい。でも、大きい道路やし、海沿いやし、大丈夫やろ」

と、なおもガンガン進んで行くと、周りは大きな倉庫ばかりになって、やがて

突然、道がなくなった!

「行き止まり?!」

そこは、神戸港の埠頭のひとつであり、目の前は海であった。

どうりで、車が通らないはずである。

(もっと早く気づけよ)

「いやあ、海が見たかったんよ、よかったよかった」

晶太は強がりをつぶやいて、引き返す。



倉庫街は、なんかコワイ。

映画やTVドラマで悪者が隠れているのが、港の倉庫だったりするのが多いからだ。

なので、人気のない倉庫の並ぶ道を、晶太は逃げるように飛ばした(笑)。

夜でなくて良かった・・。





かなり戻ったところで、やっと元の国道に出た。

「あ、ここでみんな右にカーブして行ってたんか。気づかへんかったなあ」

再び、トラック達と共に西へ向かう。



もちろん、トラックの方が速いので、どんどん追い抜かれていく。

が、道路が少し渋滞してたりすると、自転車で彼らに追い付き追い越して行ける。

その時の気持ちいいこと!

「お先に~~~



お昼は、パンとジュースを買って食べた。

海の横を走るので、景色はいい。

時々、浜に降りて休憩もした。



しかし、長時間のサイクリング、さすがに疲れの色が見えて来た。

が、そんなとき、晶太は発見したのだ。

楽に走れる方法。

大きなトラックの斜め後ろ、12メートルくらいについて走る。

すると、トラックが巻き起こす風に引っ張られて、す~~~っと進めるのである。

これは、レーシングカーがやる「スリップストリーム」とかいう走法と同じ理屈である。

(マンガで、そういう理屈は知っていた)

排気ガスを吸ってしまうのは、仕方がない。

とにかくラクチンなのであった。



トラックの運ちゃんからすれば、迷惑なこと。

「なんちゅう危ないガキじゃ!」とか思ってたかもしれないのだが・・?





1日目の目標は、県境の手前、相生市あたりまで行くこと。

そして、野宿である・・・。



とっぷり日が暮れる頃、予定通り「相生市」の表示が見えてきた。

道のりの半分を達成したわけである。

「ふう・・・神戸で迷ったけど、あとは順調やったな」


b0246533_16064110.gif


さて、どこで夜を過ごすか?

これが問題である。

疲れてゆるゆる進むうちに、真っ暗になった。周りに人家もない。

仕方ないので、道路端に自転車を止め、少し海の方へ歩く。

松の木の陰、岩に腰掛ける。

腰に毛布を巻いて、ここで野宿しようと決めた。

晶太は、寝袋なんてものはまだ、知らなかった。

もちろん、野宿の経験もなかった。

いや、そもそも、ひとり旅もこれが初めてだったのだから。



闇の中で、彼は不安になる。

これからどうなるんやろ?

無事に朝を迎えることができるんやろか・・・?



夜は意外と冷える。

寒さに震えながらも、ウトウト眠りかけていた晶太。

と、そのとき。

道路で、車が止まる気配がして、誰かが降りてこっちへやってくる。

「え? こんなところへ、誰が?」



晶太の心臓が、ドキドキと鳴り始めた。



つづく







In The Summertime






















[PR]
by tobelune | 2016-08-05 07:07 | 旅るね | Comments(0)

冒険の旅 1

「夏休み」という文庫本を見つけた。
夏休みをテーマに、いろんな作家の短編を集めたアンソロジーである。
どれも、きらきら感があって、読んでいてうれしくなった。

で、思い出したのである。
前に、ホームページの「ごくたま」に、自転車旅行の話を書いたこと。
夏といえば、冒険だ(笑)。
ここに、もう一度、掲載してみようと思う。
きらきらの思い出、スタート!!




晶太17才、突然思い立って、ひとり自転車の旅に出る決意をする。



とにかく、冒険の旅をしたい。

なぜか、彼は冒険に憧れていたのであった。

本当は、どこへ行くということではなく、

まったく計画のない、漂流のような旅をめざしていたのだが。

そんなめちゃくちゃな形では、とても親が承知するはずがない。



そこで、一応の目的地を設定した。

当時、晶太は兵庫県伊丹市に住んでいたのだが、

となりの県、岡山県倉敷市まで行くことにした。

なぜならその頃、倉敷のそばにある会社の寮に兄が住んでいたからである。

「突然行って驚かせてやろう、えへへ」



学校で使う地図帳で見ると、家から倉敷まで、直線距離で170キロ。

「ま、だいたい250キロくらいなもんやろ」

とすれば、片道2日あれば行けるだろうと踏んだ。

自転車が時速20キロとして、12時間。つまり、1日6時間こげばいいわけだ。

それくらいはどうってことないと思えた。

2日で行って、1日遊んで、帰りが2日、4泊5日で計画を立てる。


予算は・・・

たったの8000円、それしか持っていなかったし、

親から小使いをもらっては、どこが冒険なんだ? という気がしたのである。



食費のみという感じ。

野宿を覚悟の旅である。晶太は若かった。



そして、親ものんびりしてる時代であった。

特に心配するでもなく、お金をくれるでもなく、電話をしろよでもなく・・・。

すんなり許してくれたのだった。



行程は簡単である。

家からとにかく南に下って行けば、いつかは海に突き当たる。

大阪湾である。

そしたら右折して、瀬戸内海に沿う道を走る。

ひたすら西を目指せば、岡山県である。

単純明解。迷いようがないと思えた。



深く考えてなどいては、冒険にならない。

晶太はそう考えていた。



そして、ある朝、

自転車のタイヤに夢と空気をたっぷりつめて、

後ろの荷台にはカバンと毛布を積んで、晶太は元気に出発したのであった。

二度と経験できない、素晴らしくヘンテコな旅が待っているのも知らずに。



「行ってきま~~~す!!」

天気は上々であった。



つづく




























[PR]
by tobelune | 2016-08-04 11:41 | 旅るね | Comments(0)

宝探し 12

ふるさと

実家に電話してみると、母が出ました。
「あ、お母さん? 突然やけど、今、伊丹に来てるんよ。
今から行ってもええかな? お母さんひとり?
うん、今夜東京に戻るから、ちょっと寄るだけやから。
何も要らんからね。じゃ、これから行きますー」

Tくんが車で送って行くよと言ってくれるので、甘えることにしました。
この3日間、Tくんに甘えっぱなしでしたが、もうお別れです。
実家の前で車を降りて、彼と握手。
「ありがとう。またメールします」

家に入りました。
母に会うのは、何年ぶりでしょう? 12年ぶりかも? 親不孝者です・・・。
母は、今年88歳、米寿でした。(ありがたいことに、ボケはありません)
ダイニングのテーブルで二人座って、お話しました。
こうして二人でしゃべるのって、めったにない事でした。

同窓会でこっちへ来たことを報告して、
「ふたば幼稚園」の子と会えた話をしました。
すると、母がぼくの幼稚園時代のことを話してくれました。
「先生が言うにはな・・・子どもらに質問なんかしてもな、
俊明さん(ぼくの本名)は、絶対に手を上げないんやて。
わかってるのに、ただじ〜っと聞いているような子やったらしいわ(笑)。
ひとりで、ぼ〜〜っとしてる子やったらしい。
ただ、絵を描いたり、図工で何か作ってるときだけは、にこにこと
笑顔になるんやて・・・」

あ、あははは。そうやったんか〜?
もう、その頃からすでに・・・今と変わらんやん。笑えるなあ〜。

「ぼくも、今年60、還暦やで、お母さん? 年取ったやろ?
でも、こうして帽子を被ると、若く見えるやろ?(笑)
久保さん、若いですねえって、よく言われるねんで。ははは」
母を笑わせて、1時間くらいは居たのかな・・・。
突然すぎて会えなかった兄に、手紙を書いて置いた。

話しているうちに台風は去って行ったらしく、雨はすっかり上がる。
「じゃ、そろそろ行くね。お母さん、元気でね」
玄関で母の手を握りしめる。
(もう会えないかもという不安がよぎる・・・)
努めて笑顔で歩き出す。
もう一度振り返り、手を振って、小さくなった母と別れた・・・。



母に会えてよかった。けど、この悲しさ、淋しさは何だ。
雨上がりの懐かしい町・・・子どもの頃遊んだ公園の横を通り、
線路に沿って駅に向かいました。

久々に乗る阪急電車。チョコレート色の車両とグリーンの座席が懐かしい!
一路、大阪へ。
新幹線は、台風の影響ほとんどなく、流れていました。ほっとする。
帰りの「のぞみ号」の中では、恒例の「柿の葉寿司」を頬張ります。
いつものお楽しみ♪



さて、宝探しの旅も終盤です。
たくさんの人に再会できて、人生を見直すことができました。
マンガの「ワンピース」じゃないけれど、
ひとつながりの秘宝を感じ取る旅だったようです。
うれしくて、切なくて、ありがたくて・・・・・・

あと、ぼくには、どのくらいの時間があるのだろう?
いい仕事をしなくては。
やるべき事は見えているんですが・・・実力が追いつかないというか・・・
ああ、やらなくちゃ。
本当にやりたいことをやらなくちゃ。
次の世代に宝の地図を残してから、天国に行きたいです。

長い文章を読んでくださって、ありがとうございました。


おしまい






カントリーロード
[PR]
by tobelune | 2014-08-26 09:59 | 旅るね | Comments(0)

宝探し 11

M先生とランチ

8月10日、お昼前、台風11号が四国を通過し、
今まさに兵庫県に上陸したというニュース・・・なんということでしょう。
台風と、はち合わせです。どうりで、ものすごい雨、雨、雨!!

そんな中、ぼくとTくんはM先生を車で連れ出し、とあるショッピングモールへ。
3人でランチの約束をしていたのです。
中学3年の担任だった英語のM先生は、こんな天気でもイヤな顔ひとつせず、
つき合って下さいます。ほんとに気さくな先生です。

蕎麦屋さんに入りました。
ソフィア・ローレン似の美人だったM先生、今でもやっぱりキレイです。
そして、よくしゃべること! マシンガントーク炸裂です(笑)。
いえ、お元気で何よりです。

ぼくたち2人は、もっぱら聞き役ですが、話がまた面白いんです。
「先生、そこまで言うてええの?」ってくらい、あけっぴろげで明るく、
笑わせて下さいます。(ちょっと、ここでは書けませんけど・・・)
このアッケラカンとした明るさが、先生の魅力。
だから人気あるんです。みんな、先生のこと大好きです。

ぼくは、中1の1学期最初のテストで、英語100点を取ったうれしい思い出を
語りました。
「最初のテストなので簡単でしたけど、意外に100点の人は、クラスに
数人しかいなかったんですよね・・・」
「中間テストやね、あれはちょっとしたミスで98点とか96点とか、
そういう子が多いんや。久保は、注意深い子やったんやな」
「で、M先生が高得点の人の名前を読み上げてくれはったんです。
あれは、うれしかったなあ・・・人生で、最初で最後の100点満点でした。
それ1回きりでした。あははは」

最後に、こんな話もしました。
「ぼくは、M先生の他にも、小学校のときも大好きな先生がいましたし、
高校でも尊敬できる先生に出会えました。
先生には、すごく恵まれているんですよ・・・」
「それはな、久保が素直な心を持った子やったからやと思うわ。
素直に受け入れてくれる子と、そっぽ向くような子といるやろ?
教師かて人間や。素直に聞いてくれる子には、本気で向かい合おうと
するもんやで・・・」



一向に止まない風雨の中、Tくんの車で先生を送り届けました。
お家の前で傘をさしながら、片手を握って、
「お元気で・・・」
ちょっと泣きそうになります。

車の中に戻って、
「よかった、よかった」と、うなずき合うぼくたちでした。
まだ2時過ぎ。新幹線の予約の時間まで、まだまだあります。
ぼくは、言いました。
「やっぱり、帰る前にちらっとでも、実家に寄ることにするわ」


つづく






バラ色のメヌエット   ポール・モーリア
[PR]
by tobelune | 2014-08-25 07:33 | 旅るね | Comments(0)

 空好き、猫好き・・・絵本画家 久保晶太の日常と制作ウラ話!


by tobelune