青年は荒野をめざす 1

ひとりで行くんだ 幸せに背を向けて〜 ♪

この曲が好きだった。
流行っていたのは、高校生の頃だったろうか。
歌を口ずさみながら、
いつか故郷を離れて独り立ちする日を夢見ていた、あの頃・・・

二十歳を過ぎて、
「東京に行きたいんやけど」と切り出した時、
父は、少しの沈黙の後、ゆっくりと うなずいてくれた。
あの時、父は何を思ったのだろう・・・。



7月のある日、息子が唐突に言った。
「親父? オレ、年内に家を出るつもりだから。
 早ければ10月・・・」
ああ、とうとう来たか・・・
いつか、この日が来るとは覚悟していたつもりだったけれど、
やはり、うろたえた。

「じゅ、10月って、すぐやん?!」・・・オロオロ(笑)。
「地方に行きたいんだ。
 山のある所に住みたいと思って」
「地方って? どこだよ?」


つづく

















by tobelune | 2015-10-03 13:37 | その他 | Comments(0)

 空好き、猫好き、星も好き。 絵本画家 久保晶太の日常と制作ウラ話! とべるね画伯も活躍。


by tobelune