絵本会議004

根っこの話のつづきです。

くる「ある日、線路に沿った道を歩いていて・・・」
くりゅ「うん。日の当たる、明るい道を歩いてました」
「でも、心の中では暗いことを考えてる・・・
オレはこんなに悲しいのに、周りの人はみんな楽しそうで・・・
ああ、オレは世界一不幸な人間だ、なんてね」
「うんうん」
「ところが、ある瞬間にふっと、ひらめいたんやね。
あれ? まてよ? オレはずっと、オレだけが悲しい思いをしていると
思い込んでいたけど、家族を亡くして悲しんでいる人なんて、
世の中に沢山いるんやないのか? 突然そう思った」
「はい。まるで、天の啓示のごとく」
「ああ、そうか・・・オレは、世界一不幸な人間やけど、
世界一不幸な人間っていうのが、実は一杯いるんやと・・・」
「みなさん、人前では泣かないだけでね、ほんとはそれぞれ、悲しみを
背負っているのかも知れないと・・・」
「そう。そう思ったら、なんか、ふっとラクになったんよ」
「自分だけじゃないと思えば、ね」

「あの日から、変わり始めた。いつまで、独りで落ち込んでいるんやと。
ちょっとだけ、前向きに(笑)」
「いきなりは、変われません。ちょっとずつやね」
「・・・こんな話、してよかった?」
「大丈夫! 根っこの話になってます」

つづく
























by tobelune | 2016-02-07 08:10 | えほん | Comments(0)

 空好き、猫好き、星も好き。 絵本画家 久保晶太の日常と制作ウラ話! とべるね画伯も活躍。


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