イーハトーヴひとり旅 7

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↑当時持ち歩いていた本、「山と森の旅」の見返しの地図である。
左端に(なめとこ山)の文字がある。
その下には大空の滝もある。
これを頼りに、なめとこ山を目指したのであった。
豊沢ダム終点でバスを降りたのは、私ひとりだったろうと思う。
そこから山道を歩き始めた。



「なめとこ山の熊」は、熊捕りの名人、淵沢小十郎と熊との物語である。
以下、引用。
小十郎は夏なら菩提樹の皮でこさへたけらを着て、はむばきをはき、
生蕃の使ふやうな山刀とポルトガル伝来といふやうな大きな重い鉄砲をもって、
たくましい黄いろな犬をつれて、
なめとこ山からしどけ沢から三つ又から、
サッカイの山からマミ穴森から白沢から、まるで縦横にあるいた。



桂沢沿いの細い道は、片側は山壁、もう一方は深い谷である。
黒々とした土の道を黙々と歩いた。ゆるい上り道。
「本当に、この道で合っているのだろうか?」
木々が生い茂って日が差さないのも、淋しさ心細さをより強いものにした。
とても熊撃ちの気持ちには、なれなかった。
いや、小十郎も淋しかったのだったか・・?
(彼は、好きで熊を撃っているのではなかった)

小一時間も歩いたろうか。
後ろからエンジン音がした。近づいてくる。
「こんな細い山道に、車? まさか?」

驚いて脇に退いてみると・・・
ドッドッドッドッ
現れたのは、耕運機だった。
キャップを被った作業着姿のおじさんが乗っている。
後ろには台車を連結してあり、そこにもう一人乗っていた。
なるほど、山仕事の人の知恵だなあと感心した。
山の木を切り出すのだろうか?

「こんにちは」
「おう。乗ってくかい?」
「いえ、大丈夫です・・」
「どこまで行くんな?」
「えっと、大空の滝というのを見にきたんですけど・・」
「大空の滝? ああ、あれ。まだずっと先だべ。乗りな」
(方言は、正確ではありません)

ちょっとでも脱輪しようものなら、谷底へ真っ逆さまじゃないのか?
コワくて遠慮したのだが、結局は乗ってしまった。笑
乗ってみるとやはり楽チンで、ありがたい。
(本当に皆さん親切である。頭が下がる)

「東京から、わざわざこんなとこまで滝見に来たんかい? ほお〜っ」
なんと物好きな・・と呆れられたに違いないけれど。

つづく




















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by tobelune | 2021-11-28 10:57 | 旅るね | Comments(0)

 空好き、猫好き、星も好き。 絵本画家 久保晶太の日常と制作ウラ話! とべるね画伯も活躍。


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